好きなんていえないよ
――陽side――


「……て、起きて!」

「ふぇ?あれ…ここどこ?」
目をゴシゴシとこすり周りを見渡したが相手チームもボールもコートも消えていた。

「もぉ、教室だよ!夢ん中でまでバスケしない!」

呆れ顔でそう言うのは、前の席に座っている未咲だった


「んー!いいところだったのに〜!それよりまだホームルーム始まらないじゃん、あと5分眠らせていただきます〜」

「ったく、ひなたは〜!朝弱いんなら朝練しないの!」

「てかミッキー…なんで起こしたんだよ…」
私は顔を上げ、ジト目でミッキーこと未咲を睨んだ

「その顔やめてよ、昨日も話したよ?転校生来るって」

あぁなんかそんなこと話していた気がする。

「興味なし〜」

ベロを出しベーっと言うとまた机に顔を伏せた

「あれぇ?いいの〜?帰りのドーナッツおごってあーげない」

「そ、それはだめ!!」


ガッターン!

勢いよく立ち上がるとイスが倒れすごい音とともにクラスの視線が突き刺さった。
くすくすと笑い声が聞こえると我に返りイスを直し座り直した。

「あははっ!まったく、神崎はバカだなぁ〜」

「うっさい!バスケ馬鹿!あ、私の方がバスケ馬鹿だけどな!」


私を馬鹿にするのは右隣の青木耀。

バスケ大好きスポーツ青年、結構イケメンだと思う
男子バスケ部次期部長と言われている実力者だ
未咲と同じ中学校だった


「そこ張り合うところ?」

「しかもドーナッツって笑、未咲餌付けすんなよ」

「っ!!餌付けされてなんかない!」
また勢いよく立ち上がった


ガッターン!

ガラガラと扉が開き先生が入ってきた

「神崎、朝からうるさいぞ!座れ!」

「だ、だって!」

「いいから、す・わ・れ!」

隣をキッと睨みつけると耀が笑いをこらえて震えていた

「ったく、朝からこれじゃ転校生も紹介できない」

「転校生?」
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