「15―イチゴ―」
3story.「遅刻寸前」

────side壱───

入学式早々─
晴天の中、勢いよく走っている自転車──。


新しい制服を着て
俺と誠也は春日丘高校へと慌ただしく向かっていた。


誠也の運転する自転車の後ろに乗って時計と、にらめっこをする。


「誠也、後10分ッ!」

「分かってるって―。
だから飛ばしてんじゃん」


大丈夫だって。と笑いながら返してくる誠也。


誰のせいで遅刻しそうになってんのか分かってねーな──?


「ったく、素直に謝れねーのかよっ!髪の毛ぐしゃくしゃにすんぞ!」


そう言いながら、俺は、後ろから誠也の髪の毛に手を伸ばし始めた。
 
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