「15―イチゴ―」

「あ、そうだ。自転車禁止ねッ!」

誠也は、葵本たちに向かって笑顔で言っている。

「え? なんで?」


「祭りって混むしさ、
自転車8台あるより、4台のが良いと思うんだよなー」


確かに4台だと、皆が一斉にはぐれる心配もないし、行動しやすいと思っていた。


─────…あの時までは。


「じゃ、また後でっ!」

待ち合わせ場所も決まって、一旦別れ、再び駅前で会うことになった。


葵本たちの姿を背にして、俺は誠也の自転車の後ろに乗った。

「誠也、バイトは?」

「バッチリ休み取ったぜ!」


「さすが誠也――…
って、あぶねぇっ!前見ろよ―」

俺の方を向いて、ピースをして見せた誠也の頭を軽く小突いた。


「なぁ、壱ー。花火すんの、いつもの場所でいいよな?」


「だなー。じゃまた後でな!」

花火の計画をしていると、あっという間に家に着き、誠也と約束をして家の中へと入った。


いつもの場所――…

それは、小学生の時に誠也と一緒に見付けた場所だった。

港からは少し離れた海岸だけど、幸い誰にも見つからず、花火をするには絶好の場所となっていた―――…。
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