「15―イチゴ―」
──side†苺†──
────~~♪
少しすすり泣いていると携帯がブルブルと震え出した。
すすり泣き、涙で画面が見にくくなっていて誰か確認もせずに無意識に通話ボタンを押していた。
「もしもし、葵本!?」
聞こえてきたのは、低い声。
春菜か実咲か香歩からだと思っていたあたしは驚いていた。
「野…上くっ……」
大好きな人の声……。
泣いているせいで言葉になっていなかった。
優しい優しい声……。
しばらくして、野上くんがあたしを見付けて駆け寄って来てくれた。
「葵本、大丈夫か?」
何の屋台かなんて見てなかったから、屋台の後ろの堤防って言っただけなのに──……。
見付けるまでの間、
ずっと優しい言葉をかけてくれていた。
「ケガ…?」
足のくるぶしを抑えているのに気付き、優しく聞いてくれる。
「靴擦れ、起こしちゃって…。
もぅ──…履き慣れない靴なんか履くからだよね!
ごめんねっ!迷惑かけちゃって」
迷惑かけちゃって…
しかも、泣き顔を見られてしまって恥ずかしくなって喋り続けてしまった。