白球に想いを
プロローグ
「大吾さんっ!!!!」


カキィンっ!
と心地の良い金属音とともに、私達の夢をのせたボールは、惜しくもファーストの上へと打ち上げられていた。


パァアンッ
グローブの、濁りのない美しい音がグラウンドに響き渡った。


もう、アウトだとわかっているはずなのに、全てを背負うその背中は、一塁へと走り込んだ。

砂煙が立ち込めるなか、一塁ベースに膝をつく先輩だけが、目に焼き付いていた。

他のメンバーが、どう思っていたかなんて、当然私にはわからないけれど、先輩の涙には、次へと託すものが見えたんだ。

そうやって、きっと受け継がれて行くのだろうなと思った。

純粋に、先輩がかっこよかったんだ。


同じ空の下。
想いは果たして同じだったか。



いつか、あの舞台に立つことが
私たちに出来るのかな。



先輩の残したものに、私達はきっと……
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