白球に想いを
結衣ちゃんからの声援を背にしながら、私はトイレへと走る。
そこはグラウンドじゃないのかと誰もが思うはずだろう。私も自分で思うのだけど、着替えてくるのを忘れたのだ。
仕方がない。
トイレしか着替えられないのだ。
視聴覚室で着替えたいのは山々なのだが、さっきの別れで今更行くのは少し恥ずかしい。
だから、トイレにする。
私は、正直トイレが大好きだ。
こんなこと言うのも可笑しいけれど、なんというか、狭いところがすきというのもあるけれど、痴漢でもない限り、一人でいられる。
一人というのは実に楽なのだ。
こんな考えしているから友達がいないのだろうか。なんて虚しいんだ。
ガチャ
個室のドアを開ける。
正直、荷物を持って入るには狭い。
綺麗なのが助かるところだが、着替えるにはもっときつい。
スマホを取り出して時間を見る。
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