からっぽ。
《歩実》



どれくらいの時間、坂下の腕の中にいたのだろう……


どちらからともなく、二人は離れ、黙って海を見ていた。



「ありがとう………。
でもさぁ、簡単に、そんな事しちゃダメだョ。女の子は、勘違いするョ。あたしだから良かったケド……」

照れを隠す様に、私は言った。


「誰にでも、する訳じゃないですョ……。
女の人を抱きしめるなんて、もう何年も……」

そう言われて、香子の事を思い出した。



「香子の事、どうするの?」

「本当に、お世話になってます。だから、出来る事はしてあげたいと思ってます……」

「一番して欲しい事は、彼氏になる事じゃない?」



< 77 / 242 >

この作品をシェア

pagetop