呼吸(いき)するように愛してる
リビングにダイニング、玄関等。日常よく出入りする場所は、普段からちょこっとお掃除をしているから、またにして。

やっぱり、匠くんの部屋を掃除するか……

自分でするから、匠くんの部屋はいいと言われたけど……

掃除機を抱えて二階に上がり、匠くんの部屋をノックする。もちろん、返事はないけど。

「…おじゃましま~す……」

ずっとそうだったけど、匠くんの部屋が散らかっている事はない。

今日もきれいに片付いた部屋。

窓を開けて、風を入れる。五月の風は、本当に気持ちいい。

「やるか!」

自分に掛け声をかけると、掃除機をかけ始めた。それが終わったら、テーブルや棚を布巾で拭いて……

やっぱり、思ったより時間がかからなかった。

他の部屋をすればよかったかな……

溜め息をつきながら、匠くんのベッドに腰かけた。

すごく働いた訳じゃないけど、ずっと緊張しているせいか、疲れやすい気がする。

両手を身体の少し後ろに付いて、なんとなく匠くんの部屋を見回す。

そして、当然のように一週間近く前の事を思い出す。

このベッドの上で、私は匠くんと……

それを思い出したとたん、全身の熱が一気にあがる。

あえて思い出さないようにしていたのに、匠くんの唇や舌の感触、温度、私に触れた手の大きさ……

時間が経てば経つ程、忘れるどころか鮮明になっていくようだ。

匠くんは「待つ」と言ったせいか、その事に触れないように、そういう空気を出さないようにしているようだ。

鈍いと言われる私にも、それがわかってしまうから、なんとなく気まずいというか、ぎくしゃくしてしまう。

「おやすみ」の前のキスも、ずっとおでこに軽くするだけで物足りない。

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