呼吸(いき)するように愛してる
いつもより早く仕事が終わった日に、職場の近くのフラワーショップに寄ってみた。

「いらっしゃいませ!」

店員の明るい声に出迎えられる。もうすぐ二十時になる。お客は俺一人だった。

お店の前は毎日のように通るが、中に入ったのは初めてだ。

思ったより広い店内と、生花だけじゃなく、ちょっとした小物も置いてあって興味をひかれ、中をゆっくりと見て回った。

なんとなく、落ち着くお店だった。店員が、すぐに話しかけてこなかったのもよかったのだろう。

透明ケースに入れられた鮮やかなバラが、棚にいくつか飾られていた。

「プリザーブドフラワー……?」

造花ではなく、特殊な加工がされた花のようだ。

『バラは、“色”、“本数”によってそれぞれ花言葉が異なります。……』

そのすぐ傍のポップに目が止まった。

バラの花言葉……それが、妙に印象に残った。

母の日に送る花の事を訊こうと思ったら、店員は、出入口の傍のレジが置いてあるカウンターの中にいた。

俺が近付くと「おきまりですか?」と、笑顔で訊ねてくれた。

それから花を見て、アドバイスを聞きながら送るアレンジメントを決めた。

送り先など注文伝票を書き、控えを渡された。料金を支払ってお店を出た。

後で控えを見て気付いたが、フラワーショップの営業時間は二十時までだった。

俺がお店を出たのは、二十時半を過ぎていた。

店員の…彼女の気遣いに、胸が温かくなった。

寮に戻ってから、ネットでバラの花言葉を調べた。本当に細かくあって、びっくりした。なんせ、蕾や枯れた物にまであるのだから。

その中で、何度も読み返したのが、白い小輪のバラ。

『恋をするには若すぎる』

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