呼吸(いき)するように愛してる
母さんから送られてきた写メで、美羽のセーラー服姿は見ていた。

可愛いと思った。スカート、短すぎないか…?なんて心配もした。

初めて見た訳じゃないのに……実物の威力は、凄まじかった……

ふいに我に返り、慌ててベンチから立ち上がった。

おかげで、眠気は吹き飛んだ。が、どこか夢の中にいるようなフワフワとした気持ちで、ハンドルを握っていた。

美羽の事だけに意識が囚われる程、銀行の仕事は甘くない。それでも、常に頭の片隅に、あの日の美羽の姿があった。

久しぶりに、甘い悪夢をみた。以前と、内容は変わらない。ランドセルを背負っていた美羽が、セーラー服になっただけ。

夢の中で目を閉じて触れる美羽は、確かに大人のカラダで……今度こそ、大丈夫……そう思いながら目を開けると……やっぱり美羽は、澄んだ瞳から涙を溢した。

ハッ!と目が覚める。俺はまだ、美羽に触れる事を恐れている……?

そして、気付く。俺は、怖くなったんだ。

高校生になり、新しい世界に飛び込んだ美羽。これから様々な人に出会い、様々な事を体験していくはずなんだ。

……でも、もし…俺が想いを伝えて、美羽がそれに応えてくれたら、どうだろう……?美羽は、俺に合わせて早く大人になろうとするかもしれない。俺が美羽を、早く大人にしてしまうかもしれない。

……美羽が、高校生の時にしか体験できないキラキラとした時間を、俺が奪ってしまうのかもしれない……

ベッドの中で頭を抱えた。

ダメだ!それは絶対に、ダメだ!!

それからしばらく悩んだ俺は、美羽が大人になるまで、二十歳の誕生日を迎えるまで待とうと決めたのだ。


五月──

大学生の間は『母の日』といっても、電話をかけるか、メールを送るくらいだった。

今年は社会人になったんだし、一応、花でも送って感謝の気持ちを伝えるか……

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