呼吸(いき)するように愛してる
「美羽、お熱が出なくてよかったね」

お母さんが、微笑んでそう言った。夜中、何度か私の様子を見にきてくれていたと、お父さんに教えられた。

「お母さん、ごめんね。眠いよね?」

「これぐらい大丈夫!お母さん、元気なだけが取り柄なの、美羽も知ってるでしょ?」

そう言って、クルッと回って見せてくれたけど、目が少し赤くなってる……

「うん、そうだね!」

私も笑って答えた。

お母さん、心配ばっかりかけて、ごめんね!

「今日ね、みちるちゃん家が『いいよ』て言ったら、学校から帰ってきたら、みちるちゃん家に行ってもいい?」

「お家の人が『いいよ』て、言ったらよ?…その時は、お母さんが送ってあげる」

「はい!ありがとっ!」

お母さんが、笑って頷いてくれたので、さっきよりも、本当の笑顔ができた。

登校して、すぐにみちるちゃんの所に行く。

「おはよう!みちるちゃん。…今日、学校から帰ったら、みちるちゃん家に行ってもいい?」

「おはよう、美羽ちゃん。お母さんに訊いてみなきゃわからないけど。多分、大丈夫。お母さんに訊いて、美羽ちゃん家に電話するね」

「ありがとっ!」

私が、ホッと息を吐くと、私を見ていたみちるちゃんが、再び口を開く。

「匠くんの事?」

「っ!……うん」

妙な間をおいて、返事をした私。

みちるちゃんは、ゆっくりと瞬きをした。


*****



その日、学校から帰ってから──

無事、みちるちゃん家に行くことができた。

なぜかやっぱり、ニンマリ笑うヒロくんもいて……

「美羽ちゃん、ごめん」

「ん~ん!みちるちゃんのせいじゃないよ」

< 60 / 279 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop