呼吸(いき)するように愛してる
こういう時のヒロくんは、ワンコ並みに鼻が利くようだ。

前回のように、宿題をしていると、みちるちゃんのお母さんが、ジュースとお菓子を持ってきてくれた。

いつもは弟妹達に、まとわりつかれながら、宿題をするみちるちゃん。

今日は、お母さんが気を遣って、引き留めてくれているようだ。

宿題を半分くらい片付けてから、昨日『ともママと話した事』を、みちるちゃん達に聞いてもらう。

やっぱり前回のように、言葉が続かなくなると、みちるちゃんが質問をしてくれる。

ヒロくんも、今日は静かに聞いていた。時々、口をパクパクしてたけど。みちるちゃんに、何か言われたのだろう。

何とか話し終わって、前回よりも重い息を吐く。

「美羽ちゃん、もう匠くんには訊けない?」

「もう、無理っ!」

私は、首を横に振りながら言った。

匠くんの口からは『彼女』の話なんて、聞きたくない!もし聞いてしまったら……今度こそ、自分がどうなるか、わからない!

「そっか……でもね、美羽ちゃん。匠くんは、すぐに結婚しない。匠くんが、結婚したいと思うくらい、大人になった時、傍にいるのは、大人になった美羽ちゃんかもしれないよ」

「……うん、ありがと…みちるちゃん」

みちるちゃんの言葉は嬉しかったけど、今の私は、その言葉をそのまま受け取る事はできなかった──
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