【完】好きなんだからしょうがないだろ?
こっ、こんなところ見つかったら、あたしも轟先輩もただじゃ済まない……。
意を決したあたしは躊躇いがちに、慌ててバイクの後ろに乗り込む。
「振り落とされんなよ?」
ハンドルを握ると再び激しい音が無限の空気を裂いた。
そう一瞬、向けられた瞳は、まるで太陽の光を浴びた、気品溢れる弧高の狼のように鋭い眼光を放つ。
「待てっ、轟……!!」
学年主任の焦りの声が届いた時には、轟先輩がバイクで走り出したあとだった。