【完】好きなんだからしょうがないだろ?
ーーー目の前には一匹狼。
奥歯がぶつかりカタカタと震えているあたしは、まさに氷河期の中にでも放り込まれたも同然の状態。
「麻白」
「はひ……」
テーブルを挟んだ向こうにいる轟先輩の静かなる怒りを直に浴びれば、空気の抜けたマヌケな声しか発せず。
「俺はコーヒーが飲めりゃあ場所は構わないと言った」
「おっしゃる通りです……」
「これは何かの公開処刑か?」
ヒィッ。
細める視線を投げられたあたしは、起きたままでも金縛りに遇うことを知る。