【完】好きなんだからしょうがないだろ?
「はい。幼馴染みなんです。ずっと、彼を追いかけていたのは、あたしでっ、それで……」
玲央の不器用な優しさはいつだってそばにあったのは確かで、自然に信じられたのはその温かさを知ったから。
“恋”……を、したから。
だけど、吐き出された言葉も消せない事実。
「あたしがこうして今過ごせるのは、全部親友がいてくれたからなんですけどね……」
莉子にはどれだけ救われたか計り知れない。
「だから、あたしは彼を本気で忘れたくて……」
全てを消してここまで来たつもりだった。
完全に消去出来ないのは、きっと変わらない事実をちゃんと受け止められていなかったから。
「その男は愚か者だな」
「へ……?」