【完】好きなんだからしょうがないだろ?



轟先輩は一定の声音を崩すこもなく保ちつつ、ニヒルな表情を零して、あたしの腰にまわした腕に力をこめる。



「轟……先輩?」



まさかの不意打ち。


男の人に“可愛い”……なんて言われたのは初めてかもしれない。



例え、それがあたしの話に対しての慰めかもしれなくても……。



ドキン、ドキンッ、と。


激しさを増す鼓動は、密着する轟先輩に聞こえてしまいそうで。



「……知ってる」



ピクッと眉を険しく動かした玲央がそう呟けば、隣に立ち尽くす御木本さんは直ぐ様動揺を露にした。



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