【完】好きなんだからしょうがないだろ?
悔しさいっぱいで見上げれば、ハニーブラウンの前髪があたしに降るかかる距離に玲央はいた。
「オレのこと覚えてんじゃん?」
唇を釣り上げて微笑するその声に、思わず鼓動は反応してしまう。
ーーーしまった………!
つい、昔の癖で名前で呼んじゃった……。
自ら墓穴を掘ったことに気づいた時には、もう後の祭りでしかなく。
「離してよ……っ、アンタなんて……」
それでもなお、あたしは最後の抵抗を見せる。
本当はひやひやして、耐えきれなくて、玲央の腕の中から逃げようとジタバタしているんだけど。