東方想雨天

霊夢の過去

 雨那は早苗と霊夢を入口に連れて行き、蹴落として、下界に送り返してやろうとしたその時、霊夢が目を覚まし、起き上がった。雨那は蹴落とすのを止め、距離を取った。
「へぇ……。死んだかと思って土に還そうとしたのに、残念」
「…………。あなたの過去を見たわ。全て……」
「……!?なっ……!どうやって!?」
「このボールを使って、あなたの過去、あなたに宿る神の過去を全て見させて貰ったわ。普通、無理矢理神と人間の同調をするには、両方の波長が合っていないと成功しない。だけど、貴方達は見事なまでの過去、人生を過ごした。よって、波長が合い同調した。それを見かねた邪仙が、幻想郷に案内し、今回の異変を起こした」
「…………」
 雨那には判らなかったが、青蛾の考え、計画を察すると、その通りになる。無理矢理神に依り代として乗っ取られたこの身体は、霊夢の推理で同調がズレかけた気がした。
「確かに、貴方達の過去は見るに堪えない酷いものだった。私も同じような過去を抱えているわ」
「………え………」
「少し長くなるけど……。私は、博麗の巫女を名乗っているけど、実は博麗の家計で生まれていないの」
「そうなの……?」
「えぇ、私は憶えていないけど、紫が教えてくれたわ。私は、妖怪によって壊滅した村の唯一生き残りの赤ん坊で、先代の博麗の巫女と紫で引き取り、博麗神社で育てられた。それから、暫く平穏に過ごしていたけど、ある日、先代が命を落とした。とある凶悪な妖怪がいて、その妖怪の為に、命を落とした」
「ちょ……ちょっと待って!その妖怪の為って何?先代は、今まで妖怪を退治することを生業としていたはず…。なのに、その妖怪の為にやったってどういうこと!?」
「それについては、私からは言えないわ」
「え……」
「記憶が無いのよ。正確には、消されたわ」
「何で……」
「私が錯乱して、その妖怪に殺されないようにするための配慮だったんでしょう。もちろん、それ以降も私は探る気は無かったわ」
「…………」
「でも、大変だったのはこれからだった」
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