愛しい人
 翌朝花名は純正の出勤に合わせて家を出た。車に乗り、深山記念病院へ向かう。

「迎えに行くからそれまでお母さんと過ごしていて」

 純正にそう言われた花名は雅恵の病室のドアをノックする。連れて行きたかったところとは雅恵の所だったのだろうか。

「お母さん、私」

 花名が顔を見せると、雅恵は驚いたように目を見開いた。

「花ちゃん!? どうしたの、こんな時間に」

 雅恵が驚くのも無理はなかった。

病院の面会時間は例外を除き十四時からと決められている。八時を過ぎたばかりのこの時間に娘が見舞いに来るとは夢にも思わなかったのだろう。

「結城先生が許可してくれたの」

「先生が? そうそう、結城先生も最近連絡がなかったから心配してたのよ」

「ごめんね。携帯壊れちゃって……」

 連絡できなかった理由を母に話すつもりはない。ただ、純正と交際していることはどこかのタイミングで伝えたいと思っていた。
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