愛しい人
純正はエレベーターに乗り込むとIDカードをかざして最上階へのボタンを押した。
そこには特別室が並ぶVIP病棟がある。見舞客はもちろん、スタッフでさえも簡単には出入りできないようなセキュリティ体制が売りだ。
「あら、結城先生。こんな時間にどうしたんですか?」
エレベーターを降りてすぐ、ホールのすぐ向かいにあるナースステーションからすぐに声がかかった。仕方なく、カウンターに歩み寄る。
「お疲れ様。仕事が終わったので、来たんだ。少しいいかい?」
純正は薄闇の奥の病室を指さした。
「もちろんです。遅くまで疲れ様です」
「ありがとう」
純正が微笑むと、看護師は頬を赤く染める。「じゃあ」といって軽く頭を下げ、ある病室の前まで行きドアを開けた。
フットライトだけが灯る薄暗い部屋の廊下を進み、ベッドの前に立つ。そこには、まるで人形のようにひとりの女性が横たわっている。
「茉莉花」
純正が名前を呼んでも反応することはない。
そこには特別室が並ぶVIP病棟がある。見舞客はもちろん、スタッフでさえも簡単には出入りできないようなセキュリティ体制が売りだ。
「あら、結城先生。こんな時間にどうしたんですか?」
エレベーターを降りてすぐ、ホールのすぐ向かいにあるナースステーションからすぐに声がかかった。仕方なく、カウンターに歩み寄る。
「お疲れ様。仕事が終わったので、来たんだ。少しいいかい?」
純正は薄闇の奥の病室を指さした。
「もちろんです。遅くまで疲れ様です」
「ありがとう」
純正が微笑むと、看護師は頬を赤く染める。「じゃあ」といって軽く頭を下げ、ある病室の前まで行きドアを開けた。
フットライトだけが灯る薄暗い部屋の廊下を進み、ベッドの前に立つ。そこには、まるで人形のようにひとりの女性が横たわっている。
「茉莉花」
純正が名前を呼んでも反応することはない。