妄想オフィス・ラブ ~キスから始まるエトセトラ~

彼のお陰で毎日苦痛だったこの通勤が今日はとても快適だった。

降りる駅に着いてからも、さりげなく彼が背中を押してくれて、いつもよりスムーズに降りることが出来た。

改札口を出るまで、彼の手はさりげなく支えてくれていたが、改札口を出た瞬間手が離れて、そのままスタスタと先に歩き出してしまった。


「待って待って。せっかくなんだから一緒に行こうよ」


影山君から返事はなかったが、私のペースに歩く速度を落としてくれたので、これはオッケーと言うことかな。
ふふっと思わず笑みが溢れる。
その様子をみて、怪訝そうに眉を寄せたことには気がつかなかった。


「あっ。今日は本とに助かっちゃった。ありがとね。毎日嫌になるよねー。」
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