イジワル副社長に拾われました。
「元々何かしたいって目的もないから、やみくもに何社も受けて。きっと企業側もわかってんだよね。受けても受けても決まらない。それで何もかも嫌になっちゃってさ、逃げた」
「逃げた、って?」
「外国に逃亡したの、こんなことやってらんねぇって」
「外国、ですか?」
「そ、金なんか持ってないから、荷物っていったらリュックひとつで。安い宿探して、日雇いで働いて金稼いだりしてさ。そしたらそのとき、ひとりのカメラマンと出会った」
「もしかして、その出会いが、今の仕事に……?」
私の質問に、宗介さんは大きくうなずく。
「その人、紛争地帯や貧困層の多い国とか回って、実情をカメラで伝えようとしててさ。話聞いたときにこれだ、って思ったんだ。俺もこの人のように、見てきたものをちゃんと伝える仕事がしたいって。で、『弟子にしてください』って頼みこんで、一か月一緒に同行させてもらったよ」
「帰国してから、周りの人にはなんて?」
「うちの親、結構放任主義だったから。『アンタが真面目に会社勤めしてるイメージもないし、自分がしっかり信念もってやり遂げるなら、それもいいんじゃない』って。あっさり」
「そうだったんですかあ」
宗介さんの行動力に、感心する。
「きっかけをくれたのは、シロだったよ」
「白井さんが?」
「『国内だめなら外に目ぇ向けてみたら』って。その時、俺、将来がはっきりしてるシロがうらやましくてさ。『いいよな、お前は。就職も決まってて』って思わず言っちゃったんだよね」
その頃を思い出したのか、宗介さんの顔が歪む。
「白井さんは、何て?」
「『俺は、まだ自分の可能性に気づいてないお前のほうがうらやましいけどな』って。『俺は、親の会社継ぐのが一番自分に合ってるってわかってるから、その道を選んだんだ』ってきっぱり言われて。思わず自分が恥ずかしくなったよ」
「私もです。白井さんがちゃんと自分の意思を持って行動している人だから、一緒にいると恥ずかしくなっちゃうんですよね」
「そうなんだよなあ。でもさ、琴乃ちゃん。シロだってひとりの普通の人間だ。君が思ってるほど完璧でもないんだよ」
「え?」
「きっと、琴乃ちゃんのことだって、気になってるけど、最後の一歩が踏み出せないんだよ。もし、もしだよ。シロに告白されたら、琴乃ちゃん何て答える?」
「な、なに言ってるんですか、宗介さん」
「もしもの話だよ。あくまでもしも」
「逃げた、って?」
「外国に逃亡したの、こんなことやってらんねぇって」
「外国、ですか?」
「そ、金なんか持ってないから、荷物っていったらリュックひとつで。安い宿探して、日雇いで働いて金稼いだりしてさ。そしたらそのとき、ひとりのカメラマンと出会った」
「もしかして、その出会いが、今の仕事に……?」
私の質問に、宗介さんは大きくうなずく。
「その人、紛争地帯や貧困層の多い国とか回って、実情をカメラで伝えようとしててさ。話聞いたときにこれだ、って思ったんだ。俺もこの人のように、見てきたものをちゃんと伝える仕事がしたいって。で、『弟子にしてください』って頼みこんで、一か月一緒に同行させてもらったよ」
「帰国してから、周りの人にはなんて?」
「うちの親、結構放任主義だったから。『アンタが真面目に会社勤めしてるイメージもないし、自分がしっかり信念もってやり遂げるなら、それもいいんじゃない』って。あっさり」
「そうだったんですかあ」
宗介さんの行動力に、感心する。
「きっかけをくれたのは、シロだったよ」
「白井さんが?」
「『国内だめなら外に目ぇ向けてみたら』って。その時、俺、将来がはっきりしてるシロがうらやましくてさ。『いいよな、お前は。就職も決まってて』って思わず言っちゃったんだよね」
その頃を思い出したのか、宗介さんの顔が歪む。
「白井さんは、何て?」
「『俺は、まだ自分の可能性に気づいてないお前のほうがうらやましいけどな』って。『俺は、親の会社継ぐのが一番自分に合ってるってわかってるから、その道を選んだんだ』ってきっぱり言われて。思わず自分が恥ずかしくなったよ」
「私もです。白井さんがちゃんと自分の意思を持って行動している人だから、一緒にいると恥ずかしくなっちゃうんですよね」
「そうなんだよなあ。でもさ、琴乃ちゃん。シロだってひとりの普通の人間だ。君が思ってるほど完璧でもないんだよ」
「え?」
「きっと、琴乃ちゃんのことだって、気になってるけど、最後の一歩が踏み出せないんだよ。もし、もしだよ。シロに告白されたら、琴乃ちゃん何て答える?」
「な、なに言ってるんですか、宗介さん」
「もしもの話だよ。あくまでもしも」