イジワル副社長に拾われました。

告白の行方


「緊張してきた……」

「大丈夫だって、琴乃ちゃん。リラックス、リラックス」

さっきから落ち着きなく、キョロキョロする私とは正反対に、涼しい顔をした宗介さん。

「やっぱり私、今日は止めて別の日に……」

「ダーメ。そんなことしたら琴乃ちゃん、いつまでたっても言わないだろ。絶対、今日、実行するんだ」

「はい」

宗介さんの言葉にうなずいて、私は椅子に座りなおした。






私の願いもむなしく、宗介さんのかけた電話は簡単に白井さんにつながり、

『なあ、シロ。今日ヒマか?』

宗介さんのそんな問いかけに、白井さんはあっさりとうなずき、今日の約束を取り付けた。

私が逃げ出さないように、約束を取り付けたお昼から、待ち合わせ時間の十八時半まで、宗介さんはしっかりと予定を詰め込んでくれた。

ランチの後は、宗介さんが行きたかったという博物館の恐竜展に足を運び、スーパーで買い物をすませた後、宗介さんの家に戻って、宗介さんは夕飯の支度。

その間、私はリビングで、ドキドキする心臓を落ち着かせようと必死になっていた。

十八時を過ぎ、宗介さんと一緒に家を出て、向かった先は近所の喫茶店。

それから十分後、間もなく待ち合わせ時間というところで、私はまだ、落ち着くことができないでいる。

「はあ~っ」

今日何度目がわからない大きなため息を私がついたとき、カランコロン、と喫茶店の入り口の鈴が鳴り、入り口の方向に体を向けていた宗介さんが笑顔になる。

「来た来た」

「お待たせ、クロ……って、桐原も一緒か。病院、どうだった?」

白井さんはいつも通りの通常運転。スッと宗介さんの横の開いている椅子に座り、ネクタイの首元を緩めている。

「はい、異常もないので、後は打ったところの痛みが引くのを待ってれば大丈夫って言われました」

「そりゃよかった」

「じゃ、俺はこれで」

「へ? 呼び出したのお前だろう」

唐突にさよならをする宗介さんに、白井さんは怪訝そうな顔を浮かべる。

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