イジワル副社長に拾われました。
「いつもの私なら、何も聞かないと思うんです。でも、私は知りたい。ちゃんと知ったうえで、自分の気持ちを白井さんに伝えたいんです。私、白井さんのこと、このままあきらめたくなんかない!」

「そっか。琴乃ちゃん、シロのこと手に入れようって気になったんだ?」

「はい、出来るなら」

「よし、それなら俺も協力するよ。琴乃ちゃんが初めて、あきらめたくないものを見つけたんだから」

宗介さんはニカッと笑うと、携帯電話を手に取った。

「よーし、そうと決まれば決行だ」

「え? 宗介さん、どこに電話するんですか?」

「決まってんだろ。シロだよ、シロ」

「へっ!?」

「善は急げ。今日のシロのスケジュール確認して、待ち合わせ決めようぜ」

あたふたする私、反対に鼻歌まで歌っている宗介さん。

確かに白井さんに告白しようと決意はしたけど、まさか今日、告白することになるなんて。

私の動揺を見て見ぬふりをして、宗介さんは携帯電話を耳につけた。


< 52 / 72 >

この作品をシェア

pagetop