「君」がいるから【Ansyalシリーズ ファンside】 




……私みたいだね……。





心の中、自虐的に呟く。



授業の終わりを告げるチャイムが聞こえたと同時に一礼して、
いつもの校内の居場所へと身を潜める。



虐めるなら、正々堂々とすればいいのに。
コソコソしてばかりいないで。











当たり前のように切り替えされる日常。


家にも学校にも居場所を見つけられないままに、
流されてやり過ごすように時間だけはすぎていく。



秋が過ぎ、冬が訪れ、春が芽吹いて、夏が豊かさを彩っていく
四季がめぐりすぎる。



だけど……その世界は、ただ、そこにあるだけ。


偽ることに疲れた心は……悲鳴をあげて粉々に砕けて、
人を信じることも何か感動することも、
世界を色づかせることも機能を停止した。




何もかもが、ただそこにあるだけ。





世界の音も殆ど聴こえず色はモノクロに映すだけ。




何時もと変わらない日常を全ての機能を捨てたロボットが、
今日も一日決められた時間を動き続ける。



それすらも……偽りの時間だと言うことにさえ気が付かずに。


< 10 / 125 >

この作品をシェア

pagetop