「君」がいるから【Ansyalシリーズ ファンside】 


【Ansyal Taka 弟】




すると……やっぱり、そこにもいろんな情報が溢れだしてくる。




私が出逢ったTakaは、まだ高校生。
しかも……同い年だったんだ……。




そんな情報に驚いた。



だってステージで演奏しているTakaは、
ずっと大人びて妖艶で輝いて見えたから……。



そして……更に検索していくと何処かの建物の一室で、
女の人と一緒に笑ってる少年の写真が一枚。





その開いた画面で、私は見事に固まって動けなくなった。





私たちの知らない笑顔。


皆のTakaだって、手を伸ばしても届かない存在だって思ってたのに
やっぱり……Takaの傍に女の人が存在してるって言うのは凄く苦しかった。



慌ててパソコンを消してAnsyalの曲に浸ろうとMP3プレーヤを再生する。



だけどスピーカーから流れてくるサウンドに、
今まで見たいな感情が湧いてこない。




ただ耳障りに聞こえてしまったそんな世界に、
慌ててプレーヤーを停止して、ベッドへと移動して転がった。





どうして?
あんな好きだったのに、Ansyalがどうして聴けなくなったんだろう。






ねぇTaka……、皆を助けてよ。
なんてどうにもならない思いをTakaの名を借りて紡ぎだす。






クリスマスの訃報から、今日までの時間をゆっくりと順番に辿りながら、
現実の時間の空白を埋めていくように、記憶を整頓していく。



すると携帯電話が着信を告げた。



「もしもし」

「こんにちは。里桜奈ちゃん、遅くなってごめん。
 今、電話大丈夫かな?」


約束通り電話をかけてきた朝日奈さん。


「朝日奈さん、紗雪は?」

「あぁ、紗雪は今病院で点滴してるよ。
 でも命に別状はないから、そこは安心して」

「えっと……」

「あっ、紗雪の傍にはアイツの彼氏がいるから大丈夫だ」



彼氏?


朝日奈さんの言葉に、驚きを隠せない。
彼氏……別に居たんだ。

ずっと、朝日奈さんが彼氏なのかなって思ってた。




「んで、里桜奈ちゃんにもう一つ残念なお知らせ」



話のトーンが変化して、ゆっくりと朝日奈さんが告げる。




「大晦日の日だったかな。
 副総長の雪奈【セツナ】さんが消息がわからなくなった。
 
 支部長の天子【タカコ】さんから、紗雪のところに電話が入った。
 紗雪、ちょうど俺の兄貴のところに居たからさ。

 紗雪の彼氏って、うちの兄貴なんだよ。
 
 んで慌てて、兄貴と俺と紗雪も天子さんと合流して
 ずっと思い当たる場所、探し続けた。

 貴姫さんもずっと探してくれてたんだけど、
 年始だろ。貴姫さん家の用事で、雪奈さんをこれ以上探すこと出来なくて
 俺ら、ずっと探し回ってたんだ。

 雪奈さん……見つけたよ。
 AnsyalのTakaが住んでた事務所のマンションの向かい側のビルの屋上で見つけた」



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