「君」がいるから【Ansyalシリーズ ファンside】 



その輪の中から、はみだされないように精一杯楽しみながらも、
自習時間の紗雪の言葉が重くのしかかってた。







自分で心を開こうとしない人に、
こっちから近づいても疲れるだけだから。

だったら、それは友達じゃないよね。


一方通行なんだからさ。
一方通行なんて保護者だけで十分じゃない?








サラリと告げた紗雪の言葉が今も心から消えない。


今の私は……ちゃんと友達でいられるの?
私の嫌いな、友達ごっこになってない?



私と紗雪は……ちゃんと「友達」って認め合えてる?



対等?
紗雪は……私の保護者になってない?

いっぱい甘えて、いっぱい迷惑かけて……。

考えれば考えるほど、
なんか自分が情けなくなってきてテンションが下がってく。


それでも何とか今の時間を盛り上がってやり過ごして、
カラオケ時間の後、病院を理由に紗雪たちと別れた。



一人になってMP3プレーヤーを起動させて、
Ansyalを聴きながらちょっぴりほっとしてる自分に気がつく。



あんなに欲しかった友達なのに、
なんで……息苦しく感じるんだろう。


病院って言って別れたのに、
実際は今日は診察の予約なんてない。


ただ……楓我さんに会いたくなったから。
彼だったら……私が求めてる答えが得られるような気がして。



私の中に居た大嫌いな魔物。
そんな魔物が私にも巣食ってた。


どうしていいのかわからなくて……。



この息苦しさから少しでも解放されたくて病室へと駆け込んだ。






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