「君」がいるから【Ansyalシリーズ ファンside】
その輪の中から、はみだされないように精一杯楽しみながらも、
自習時間の紗雪の言葉が重くのしかかってた。
☆
自分で心を開こうとしない人に、
こっちから近づいても疲れるだけだから。
だったら、それは友達じゃないよね。
一方通行なんだからさ。
一方通行なんて保護者だけで十分じゃない?
☆
サラリと告げた紗雪の言葉が今も心から消えない。
今の私は……ちゃんと友達でいられるの?
私の嫌いな、友達ごっこになってない?
私と紗雪は……ちゃんと「友達」って認め合えてる?
対等?
紗雪は……私の保護者になってない?
いっぱい甘えて、いっぱい迷惑かけて……。
考えれば考えるほど、
なんか自分が情けなくなってきてテンションが下がってく。
それでも何とか今の時間を盛り上がってやり過ごして、
カラオケ時間の後、病院を理由に紗雪たちと別れた。
一人になってMP3プレーヤーを起動させて、
Ansyalを聴きながらちょっぴりほっとしてる自分に気がつく。
あんなに欲しかった友達なのに、
なんで……息苦しく感じるんだろう。
病院って言って別れたのに、
実際は今日は診察の予約なんてない。
ただ……楓我さんに会いたくなったから。
彼だったら……私が求めてる答えが得られるような気がして。
私の中に居た大嫌いな魔物。
そんな魔物が私にも巣食ってた。
どうしていいのかわからなくて……。
この息苦しさから少しでも解放されたくて病室へと駆け込んだ。