「君」がいるから【Ansyalシリーズ ファンside】 

「んじゃベースは不在だけど三人でお披露目。
 祐未と里桜奈は、聴いてて」




そうやって演奏が始まったのは荒削りだけどAnsyalの曲。


十夜が作った、堕天使の闇姫。
演奏しながらボーカルをとる紗雪。


初めての生音。


スタジオと言う狭い空間に圧縮されたサウンドは、
聴覚もかなり刺激してくれるみたいで演奏の後も、ぐあんぐあんしてた。


「んじゃ、次は里桜奈と祐未の相棒探し」


紗雪がそう言うと私と祐未の手を引いてドラムの方へと連れて行く。


「都葵、宜しく」


都葵さんは紗雪に託された私たち二人に微笑むと、
スティックを打ち鳴らして軽くリズムを叩く。



「これが基本の8ビート」


そうやって簡単そうに叩くんだけど、
後ろ側から見ると足も手も動いていて……。



「まず、ハイハットシンバル8回刻み続けるでしょ。

 それで1拍目に、バスドラをドン。
 2拍目に、スネアをタン。

 ドンタン、ドンタン後は繰り返すの」



そう言いながら都葵さんはドラムをゆっくりと叩いていく。


祐未が最初に体験して、
その後、私も初めて触るんだけど右でハイハットと言われる指定された場所を
叩いてるだけだったら、余裕なんだけどそこに足と手が入りだすともうめちゃくちゃ。

ハイハットの止めちゃダメって言われてたても、
何時の間にか止まってしまって初体験で憲って凄いって思っちゃった。


ドラムを30分くらい楽しんだけど、
やっぱり私はTAKAが触ったことがあるギターが触ってみたいなって。


祐未の方を見つめたけど、祐未も違う楽器を相棒にしたそうだった。


「うーん、里桜奈も祐未もその顔はちょっと違ったなーって感じだよね。

 よしっ、んじゃ次行こう。
 都葵、アンタはうちのバンドの揺るぎないドラムになりそうだわ。
 
 宜しく」


なんて紗雪は手をヒラヒラさせて今度は朝日奈さんのところへと連れて行く。


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