「君」がいるから【Ansyalシリーズ ファンside】 

20.秋の文化祭



紗雪の働きで私が通う聖フローシアに軽音同好会が発足した。

それぞれの担当楽器はこんな感じ。


ボーカル→紗雪
ギター →紗雪・私。
ベース →祐未
ドラム →伊澄さん。


学院での軽音同会の練習時の担当パートはこんな感じ。


そしてもう一つの夏休みに練習してたAnsyal仲間とのバンドの方は、


ボーカル→紗雪・空音さん
ギター→紗雪・空音さん・私
ベース →祐未
ドラム →都葵さん
ピアノ →私


こんな感じでまとまった。


そして同好会の方では、せっかく作ったんだからと生徒会と掛け合って発足して間がないのに、
秋の文化祭にはステージで演奏することに決まってしまった。


目標が決まった私たちは、その日からAnsyalと音楽漬けの時間が始まる。


自分たちのオリジナル曲を作ろうとしてるAnsyal仲間とのバンドと違って学院祭で演奏する曲は、
大好きなAnsyalのカバーにしようって決めた。



バンドスコアも何も、楽譜がないなか頼りになるのは自分の耳だけ。


十夜好きの紗雪が選んだのは「堕天の闇姫」。
TAKA好きの祐未が選んだのは「天の調べ」。
伊澄さんが選んだのは「光射す庭」


そして最後に私が選んだ、Ansyalが好きになったきっかけの曲。
「君がいるから」



まずはこの四曲を必死に聴きこんで、楽譜におこしていくところから始まる。



五線譜の上にMP3プレーヤーを再生して何度も何度も流すAnsyalの曲を書きこんでいく。
五線譜が出来上がった次は、皆で顔を合わせて各パートの譜面を仕上げていく。




「祐未、そこのベースなんだけど、こんな風にしてみたらどうかな?」

紗雪が祐未のベースを触りながら、少し爪弾いていく。

「あっ、いいかも。

 あんまり難しいのも私演奏出来ないけど、でも今のままだと動きがなくてパッとしないなーって思ってたの。
 それくらいなら、私でも出来るかも」


紗雪が手にしていたベースを返して貰って祐未が再びベースを構えながら演奏していく。


「じゃあ、祐未。
 前奏からあわせていこうか」


伊澄さんの一言でベースとドラムのリズム隊が合同練習を始めていく。


そんな隣、私は今日もコード進行の基本練習をやってた。


「やってるやってる里桜奈。

 抑えにくかったコードも抑えられるようになってきたじゃん。
 そこのコードの場合、かしてみな。
 こうやって、指を配置していくと手が小さくて抑えられるんじゃないかな。

 私も苦戦したんだよね」


自分の練習をしながら、紗雪はちゃんと私の方も気にかけてくれて助言をしてくれる。


だけどギターを始めて、もう少しで二ヶ月。

そんなレベルでこんなこと言うのも嫌だけど皆と一緒に練習していると、
上手く演奏出来ない自分が足を引っ張ってるみたいに感じて嫌になってくる。


もっとうまく演奏しなきゃ。
もっともっと練習しなきゃ。


紗雪や祐未の足を引っ張りたくないから。


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