イジワル先輩さま、ご注文は甘い恋で
野次馬達の言葉に、俺は耳を疑った。

日菜も間違いなく同じ名前を耳にしたようだ。




「『カンナ』ってもしかして、あの今人気急上昇の愛本カンナちゃんかな?わぁ、わたしあの人大好きっ。すごいキレイだけど、たしか同い年だよね?」


「…ああ…だったかな」


「残念だなぁ。見てみたかったな」




スタッフが片付け始めると、少しずつ野次馬が引いていった。

大きなロケバスが姿を現した。

もしかしたらこれが役者の待機場所なのかもしれないな。

ま、どうでもいい。




「早く帰るぞ、日菜」




と、ロケバスの横を通り過ぎようとした時だった。






「晴友!?」






突然、女の声に呼び止められた。


誰だ?知り合いか?




「こっち!こっちだよ!」




声がした方に振り返って、驚いた。




「あーやっぱり晴友だーっ!やっほー!!」


「か、環奈!?」




ロケバスの車窓から、俺に手を振っていたのは、今を時めく人気タレント愛本カンナーーーもとい、俺の幼馴染の三木環奈(みきかんな)だったからだ!
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