甘い恋
「なんのこと?」
潤んだ目で私を見る先輩
「昨日の帰り、スタイルがいい女の人と楽しそうにしゃべってたじゃないですかあ……」
そういうことか。と言った先輩が下を向く私の顎に指を引っかけて上を向かせる。
「あれ、彼女とかじゃないからね」
「えっ……」
「ただの仲がいい友達」
おでこをコツンとされる。
ちょっと、ホッとした気持ち、嬉しい気持ちと悔しい気持ちが入り交じってまた素直じゃなくなる。
「……でっでも、向こうは好きかも知れないじゃないですかああ……」
「だ~か~ら~、向こうは彼氏いるし。」
なにも言えなくなった私はまた下を向いて、ぐちぐち幼稚なことを口にする。
「それがイヤだったの?」
と聞かれたから
「は、はい。」
と答えた。
先輩は少しクスクス笑っていた。
また、先輩のペース。また乗っかっちゃった……。
こんなん、好きって言ってるようなもんじゃん。