夏の終わりの失恋歌(恋愛中毒1)
「じゃ、ヒコのバンドとうちのバンド?」

「うーん、俺はソロにしようかなって思ってるんだよね。
彩ちゃんのほうはバンドで呼びなよ。それは、俺からエイジに言っとく」

「その二つで良いと思う?」

「良いでしょ。
他に呼びたいバンドがあれば声かけるよ」

……自分が声を掛ければ問題ないと信じている、その自信がもう只者ではない。

「澤田のバンドは?
Rock-Cocktailsのコピーやってほしいなぁ」

Rock-Cocktailsとは、彩華が愛してやまないビジュアル系ロックバンドである。
ビジュアル系にしては珍しいほど、演奏が上手くアレンジも凝っているので、ちょっと演奏が出来るアマチュアバンドによくコピーされてもいた。

「澤田?
じゃ、聞いてみる」

「後は、うちのサークルの同い年の人は都合がつけば来て欲しいなー。
で、私の友人15名くらいに声掛けてみる。
少ないかな?」

「少なくても良いよ。彩ちゃんが楽しむのが一番」

……な、なんでかなあ。

伸彦が見せた魅惑的な笑顔に、彩華の心臓は勝手に騒ぎ始めていた。
< 38 / 41 >

この作品をシェア

pagetop