男の秘密 -繋がる未来-
帰りのさやかの車内は、忍も起きて会話に入っていたが、これが、木戸の運転なら確実に眠っていただろう。

自宅に戻ると、ソファーで眠りそうになる忍をベッドまで連れて行って眠らせたが、これだけ大変なのは、出会った日以来だなぁとしみじみ思う。

一段落してソファーに沈みこんで苦笑した。

その後、今日まで緊張していたので、中々進まなかった仕事を始める。

夜始めると色が変ってしまうので、色塗りの作業以外をやるが、昼間のさやかの質問が気になる。

『結婚する理由』

忍は優に、まわり全てに優が自分の奥さんになった事を知って欲しい、そして変な虫がつかない様にしたい―と言っていた。

その為の結婚式なのだ。

優も始めは結婚しなくても傍に居られれば良いと思っていた。

でも、今日さやかが、―隣に居られる権利―と言ったのを聞いて気付いた。

形にしないと難しい事もあるのだと。

「一緒に居られる権利かぁ」

結婚についてちゃんと考えた事が無かったが、結婚に対する考え方も色々あるんだと思った。

結局気もそぞろだったので、仕事は止めて、描くともなしにスケッチブックに鉛筆を走らせる。
考え事をする時の癖だった。

考えが纏まらないまま、描き続けているといつの間にか日付が変る時間になっていた。

慌てて作業を止めて寝る事にした。
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