男の秘密 -繋がる未来-
収まった心臓の鼓動が今また、壊れそうなほど暴走している。

隆司の店の前に着いたからだ。

自分たちが先に着いたのか、真希たちが先に着いたのか分からないので、開けた瞬間どうなるのかを考えると、気を失うのではないかと思うほど緊張している。



扉を開けようとドアノブに手をかけると同時に扉が動いた。

「わっ!」

かなり驚いたが、扉の向こうに隆司が立っていた。

「いらっしゃい。中にどうぞ」

忍が何か言う前に、さっさと忍たちを奥に案内したので、忍も挨拶のタイミングを逃してしまった。

忍が何か言おうと口を開きかけた時、何時もの席に座っている人物に目が行って固まる。

「!?」

相手も忍に気付き驚いた表情をしている。

「どういうことだ!」

全く何も聞かされていなかったであろう、忍の父が立ち上がり、叫んだのに対して、忍は驚きはしたものの、優をチラッとみて、全ての状況を理解した。

「あ、あの!初めまして!私、斉藤優と申します。
 あの、忍さんとお、お付き合いさせて頂いてます!」

一気に話して深々と頭を下げる優に、先ほどの興奮が収まった父親が驚いていた。

「斎賀浩務(さいがひろむ)です。・・・息子が世話になっているようで・・・」

「い、いえ、私の方が殆ど一方的にお世話になってます!!」

「貴方、この前優さんがうちに来てくれたの。二人で挨拶に来たいって。」

「別に、来てもらわなくても・・・」

「貴方!。優さんは貴方と忍との蟠りに心を痛めてるの!貴方も後悔していたでしょ!」

「別に俺は!」

「優、もういい。」
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