男の秘密 -繋がる未来-
「寂しくなるわね」

ポツリと呟いたその言葉にハッとした。

確かに会社を辞めると、お昼に一緒にご飯を食べる事は出来ないが、時間は自由になるからそれなりに会えるのではと思った。

「日本を離れたら、中々会えないから、忍さんには悪いけど、仕事辞めたら暫く優を借りようかしら」

フフフと少し寂しそうに笑う羽奈をみて、やっと理解した。

日本を離れたら、簡単に会うことが出来ない事に・・・。

忍について行くつもりだが、具体的には忍がどの位海外で暮らすのかも、どの国で暮らすのかも、いつか日本に帰ってくるのかも分かっていない。

永遠の別れでは無いが、今までとは比べ物にならない位会えなくなる事は確かで、そんな事に気付かない自分が恥ずかしかった。

「今すぐ行くわけじゃないし、時々は忍さんを置いて帰ってくるわ。私も羽奈と離れるの寂しいもの」

羽奈と離れる事に気付いてしまったら、悲しくなって来た。

忍が何度も謝っていたのは、この事だったのだと今更ながらに気付いた。
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