男の秘密 -繋がる未来-

出かけたのかと思い、玄関に行ってみるが、帰宅時のままの状態なので、出かけていないと判断した優は、忍の部屋に向かった。

「忍さん?」

扉の前で声をかけると、物音が聞こえた。

暫くすると、ドアが開き、スーツケースを持った忍の姿があった。

「?忍さん?何処かに出かけるの?」

「急に地方ロケの仕事が入ったから、今から出かける事になった」

「え、そうなの?ご飯は?」

「悪い、食べている時間が無い」

忍は腕時計に目をやり、慌てた様子で玄関に向かう。

「い、行ってらっしゃい、気をつけて」

何時もと違う忍の様子が気になるが、結局何も聞けなくて、そのまま送り出した。

一人になると、家の中は途端に広く感じる。

食欲もなくなってしまい、結局冷蔵庫に片付けた。
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