男の秘密　－繋がる未来－
気持ちの整理
眠っている状態で忍に抱きかかえられて、車を降りたが、まだぼんやりしていて、今の状況が分からなかった。

忍の腕の中は気持ちよくて、まだ目覚めたくないと、寝ぼけた状態ではそう思った。

『なんで抱っこされてるのかしら』

全く纏まらない頭を、使おうとしていると頭上から声が聞こえた。

「いきなり昼間に貸切にしろって言われてビックリしたぞ」

『誰の声だっけ・・聞いた事ある』

思い瞼を開けようとした時、更に声が聞こえた。

「優ちゃん大丈夫なの？」

二人の聞き覚えのある声に、やっと意識が浮上してきた。

「あ、さやかさん・・隆司さん・・！！」

自分が抱っこされている事に気付き、声にならない悲鳴をあげた優を、そっと地面に降ろした。

それでもふら付いているので、抱きかかえるような形で腰に手を回して、へたり込まないようにされる。

「何？忍に抱き潰された？・・・イテッ！」

隆司の発言に横にいたさやかが一番に反応して足を蹴ったのだ。

「下品な言葉で純粋無垢な優ちゃんの耳を汚さないで！」

「だきつぶす？」

寝起きなのと、聞いた事の無い言葉に不思議そうに首を傾げる優の後ろで、物凄い形相の忍が隆司を睨んでいる。
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