領収書
ジジジジジ…ピッ。 インストール完了…残量ガアリマセン…

あぁ、そうだこれは俺の寿命か。
妻と娘が迎えに来てくれるんだ、そうだ。

俺は目をつぶって横になった。

この腕時計は、昨日の葬式で貰ったものだ。
娘の遺品。
娘の胸ポケットに、俺宛の手紙と共に入っていたらしい。


「お父さん!」

娘の声が聞こえる。
目を開けると、娘が駆け寄って来ていた。

会いたかった。
何度も後悔した。謝りたかった。

「ごめん、ごめんな。こんな親父で。ごめん、本当に謝りたかった。許してくれ…ごめんな…」

泣きながら、何度も謝った。
娘は少し涙目になりながら、私の背中をさすった。

「いいのよ、お父さん。もう怒ってないわ。向こうにはお母さんもいるのよ?早く行きましょう」

「あぁ、あぁ…っ」
俺は嬉しくて何度もうなずいた。



「えぇ、逝きましょう。」

娘は口元だけ少し笑って、父親の手を取った。
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