【完】七瀬先輩と秘密の恋におちて
滲んだ視界の中で七瀬先輩が淡く微笑んだような気がする。
恋なんて、所詮は幻想だと思っていた。
そんな夢みたいなこと、わたしにはきっと起こり得ないんだって。
固い殻に閉じ籠って諦める以外の方法が見つからなくて。
「泣くなよ、八重」
その唇が優しくわたしの名前を呼ぶ。
夢よりも淡い表情でわたしを見つめている。
氷ついた心を溶かしてくれる不器用な優しさは、いつもすぐそばにあった。