同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
大きく足を開いてベンチに座る彼は、膝の上で組んだ手を何気なく動かしながら、気まずそうに過去を語り始めた。
「……沙弓のこと、隠してたわけじゃないけど、言う必要もないかなと思って黙ってた。でも、一時期彼女と付き合ったことがあるのは本当。
昔から、玄太を含めて三人で行動すること多かったんだけど、ずっと沙弓は俺を好きでいてくれてて……。大事な友達の妹ってこともあるから俺ははぐらかし続けたんだけど、ある時そうもいかなくなって」
昔から……か。確か、玄太さんとは高校の同級生だったと記憶している。そのころから、沙弓さんとも付き合いがあったんだろう。
当たり前だけど、私なんかが敵いっこない、彼らの歴史があるんだよね……。
そう思うと、胸のあたりが鉛を飲み込んだように重たくなる。
「俺、大学はけっこう地方だったんだけど、沙弓のやつ、下宿先に押しかけてきてさ。遠距離でも頑張るから、付き合ってほしいって。
……正直、沙弓のことは妹的な感じにしか見てなかったけど、最後は押しの強さに負けたって感じかな。つっても、やっぱり本気で好きじゃない相手と長続きするわけもなくて、半年くらいで別れたんだけど」
そこまで少し早口気味に言い切ってから、比留川くんはちらりと私の方を見て、苦笑を漏らす。
「……なんか俺、すげぇ言い訳がましいな」
「そ、そう? でも、事実を話してくれてるだけなんだよね?」
「いや……事実は事実なんだけど。なんか、難波に幻滅されないような言い方、必死で探してる気がして。……だとしたら、超ダセぇなって」
自嘲気味に言った比留川くんは髪に手を差し入れ、頭をガシガシと掻く。