箱入り娘と黒猫王子
聞きなれた久々の声が聞こえて、急いで零れかけた涙を拭く。


「どうしたの??」

「…母さんと話してたのか?」



優しい顔のお兄ちゃん…
泣いてたの、バレてないかな…?



「うん、お兄ちゃんと由佳さんが、お祝いしてくれたって!!」



さっきまで泣きかけていたせいか、
声が裏返りそうになる。

せっかく楽しい帰省なのに、私の涙のせいで悲しませたくない。

お兄ちゃんだけじゃない。他の兄弟もみんな私に優しすぎるから。私を沢山愛してくれるから。

私はせめて、元気で、笑顔でいなきゃ…
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