箱入り娘と黒猫王子
「はーやーく、」

「は、はい!!」



まさかの口調に気圧されて動けなかった…!
急いで目の前まで行くと、



「ふっ、おはよう。」

「お、おはようございます…」

「昨日、俺が言ったこと、覚えてるか?」



『皆の前に立つ俺と
ここでの俺は別人だと思って』



「あ…はい、」

「簡単に言うと、ここでの俺が素の俺。
学園の〝王子〟は
学校を上手く回すための表向きの俺。」

「な、なるほど?」

「そ、だからバレたら困るのは分かるよな?」

「そ、そうですね…」

「秘密にしてくれるよな?」



ニッコリ笑顔は可愛いはずなのに、
なんだろうこの有無を言わさぬ圧は…。

こんな圧に勝つ術を私は知りません…。



「は、はい…」

「ん、いい子」



満足そうな紫ノ宮先輩。

別に知りたくなかったけど…
成り行きで知っちゃっただけだけど…
なんならむしろ知らず平和に暮らしたかったけど…
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