君の中から僕が消えても僕は君を覚えている。【完結】
ぎゅっと握りしめられた手。
こんなに近いのに。
触れられる距離に槙野くんはいるのに。
どうして、遠く感じるのだろうか。
槙野くんは今、何を考えているのだろう。
花火が終わるまで、私は心ここにあらずだった。
一言も言葉を交わさなかった。
やっと、槙野くんが口を開く。
「僕達も帰ろうか。送るね」
「うん」
どうにか頷いて、槙野くんに手を引かれ立ち上がった私。
ゆっくりと歩き、帰路につく。
「……」
「……」
何か、話さなくちゃって思うのに。
クダラナイ話一つも思い浮かばない。
隣に並ぶ槙野くんの顔をちらっと見る。
その視線に気付いた槙野くんも、私を見た。それから口を開く。