にゃおん、とお出迎え


「みゃーみゃーみゃー」

アパートの扉の前。
カタセくんが追いついた頃を見計らって、飾りの玉を離して鳴く。
コロコロと転がって行った玉は、カタセくんの足にぶつかって止まった。

そうしたら、ゆっくりと静かにお家の扉が開いて、泣きはらした目のミネちゃんがあたしとカタセくんを迎えてくれた。

「片瀬くん、ごめんなさい」

「みゃおん」

まだ泣いたまま謝るミネちゃんの前にあたしは立ちはだかる。

ほら。
こんなに泣いてるのよ、カタセくん。
許さなかったら引っ掻いてやる。

「美音。……俺こそゴメン」

カタセくんは入り口でミネちゃんを抱きしめた。ホッとしたようなミネちゃんの息と涙が、下にいるあたしの近くに落ちてくる。

ふたりともちょっと落ち着いて。
間にあたしがいるのをお忘れではない?

踏まれそうで怖いよー。
もうー、やっぱりカタセくん、嫌い。
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