にゃおん、とお出迎え

ってわけで、あたしは毎日、お部屋を抜け出して散歩している。

ミネちゃんは換気用にと小さな窓を開けていってくれるので、そこから抜け出せるの。

ベランダも屋根もピョンピョン飛び越えていく。
あたしは自由だーって思えてすっごく気持ちいいんだ。

で、休憩場所としてみつけたのがここ。
レンガはあったかいしお花はいいにおいだしサクラの木が日陰をつくってくれるしでお昼寝にはもってこい。

ただ、今の時期はちょっとダメね。

この目の前にあるサクラの木から、花びらがいーっぱい落ちてくるんだもの。
くすぐったくて寝ていられないわ。


次はどこ行こうかなぁ。

花壇の上に乗ったまま、きょろきょろしていたら、近くのドアがキィと音を立てて開いた。
それと同時に、香ばしい匂いがしてくる。

これは、こおひぃの匂い。
あたしの飼い主のミネちゃんが、好きなやつ。

あたしも好きだよ、こおひぃ。
ホントは色が好きなんだけどね、ずっと嗅いでいるうちに、匂いも好きになったんだ。


「にゃおん」


地面に降りて、建物を改めて見上げた。

ここはどうやらお店屋さんみたい。
中では、向かい合いながらお話している人がいっぱいいる。
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