にゃおん、とお出迎え

「みゃおう」

寒いよう。


「ぶみゃおん」

バカだね。ホラおいで。

そう言って、カズコさんはあたしの隣にやってきた。
大きな体は、あたしを風から守ってくれて、伝わるぬくもりもとってもあったかい。
ママにひっついていた時を思い出しちゃう。


「みゃおん」

カズコさん、あったかいね。

本心からそう言ったら、少しの間をあけて、カズコさんから返事が来た。

「……ぶみゃん」

当たり前だよ、あたしを誰だと思ってんだい。

「みゃーん」

カズコさんはカズコさん、でしょ。

もこもこの毛にぴとりとくっつくと、ふんわり優しい感触。
ミネちゃんとひっついててもあったかいんだけど、このあったかさは、ネコ同士でしか出せないあったかさだね。
まるでそう……

「みゃ……」

ママみたい。

小さくそう言ってみたら、カズコさんはもっと体をくっつけてくれた。


大みそかは、ママと過ごす日なのね?

ちょっと違うけど、月からのママの眼差しと、カズコさんのぬくもりで、あたしもママと過ごしてる気分。

ああ、なんか。
色々思い出しちゃう。

ママと離れて一人ぼっちになったり、ミネちゃんに拾われたり、捨てられたり。
でもまた拾ってもらえたり。

色々あったけど、
今ここにいられて良かったなぁ。

来年も、良い年でありますように。


そのあと、除夜の鐘ってやつが鳴りだしてうるさくて寝れなかったりしたけど。
ミネちゃんのここのお家、結構楽しかったわ?

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