ただあの子になりたくて
私がいつだって、その輝かしさの隣でうらやみ続けた、椿。
あの優しく大きな手で、あの広い胸で、彼女を受け止めた、彼。
友達という残酷な距離で、ずっとずっと想い続けてきた、蒼介。
そんな2人の、私の友達が、抱き合ったシルエット。
遠く左側の闇に白い2つのライトが見えてくる。
急かすように警告音は絶えずなきわめく。
大音量にしびれる頭。
強烈な赤いランプを浴び続けてチカチカしていく視界。
負けていることなんて、いくら私でもわかっていた。
それなのに、喉から嗚咽が漏れる。