ただあの子になりたくて


いつも頑固なまでにしゃんとしていたのに、その背をすべてソファーのへりに預ける。

そして、お母さんの隣に寄り添って、天を仰いだ。

「俺はただ3人が飯を食うために働いてればいいと思って、家のことなんて関係ないと思ってた」

たっぷりと憂いを含んだため息が、宙に漂う。

お父さんはその頭を起こしメガネをはずすと、目頭を強くおさえこんだ。

「だから、こんなことになるまで、俺も何もわかってなかった……」

ソファーの片隅に投げ出されたメガネ。

無防備になってうなだれるお父さん。

気の抜けた、嫌になるほど弱い声。

今すぐにも走りだしたい足は必死に我慢して、指を床に突き立てる。


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