ただあの子になりたくて
純白の衣装に身を包んだ王子と、華やかなドレスで着飾った娘が抱き合う姿。
私は素敵なドレスを着ていても、ライトから外れたステージの端で唇をかみしめる。
本当に泣きそうになる。
どれも私が歩いた、間違いだらけの痛くて、それでも愛おしい記憶。
人魚姫と、嫌になるくらいに重なっている。
でも、私はそんなステージの端で、可憐な水色のドレスに似合わず、拳を強く握った。
私はこのまますべて、人魚姫の人生に乗ってはいけない。
こんなに馬鹿な私でも、ケンカばかりだったお母さんに大事な言葉をもらった。
椿に、私なんかと変わらない悩みを勝手に見せてもらった。
私はもう、一人孤独に悩んでいた人魚姫とは違う。
王子だけを守った彼女にはならない。
私にはやらなくてはならない大事なことがある。
私の短い未来、私のこの手で切り開く。
私は、光り輝くステージを真っすぐに見た。