ただあの子になりたくて
オレンジ色のブランコと地味な砂場があるだけの場所。
その公園の片隅のベンチに、制服姿の男子と女子が座っていた。
長い黒髪の女の子は真っ白な便せんを両手で握りしめて蹲っている。
隣の髪をツンツン立たせた男の子は、その風貌に似合わず慌てて手を宙にさまよわせている。
私はピンと姿勢を正して、その女の子を見つめた。
椿だった。
私は涙が溢れそうになったけれど、拳を握りしめて、それはいけないと堪えた。
椿がちゃんと、椿として生きている。
その体を動かしている。
私は胸に手を押し当てて深く息をついた。